『パネルラ』の真相に迫る!2408文字インタビュー

パネルラ feat.蒼姫ラピス(作曲:むかし僕が死んだ家P 作詞:HeadNho)

 

――まずは『パネルラ』が誕生した経緯を教えて下さい。

 endrollhouseっていう音楽グループを結成してるんですけど、そのグループ……というか僕の方針として「いろんな音楽ジャンルがごった返してるアルバムを作る」っていうのがあって。その為にはコラボ曲は必要不可欠だと思ったんです。で、僕は作詞をするのが滅茶苦茶好きなんですよね。なのでアルバムどうこうの打算的な理由よりも、純粋に作詞がしたかったって理由でむかし僕が死んだ家Pさんの作詞を強く熱望しました。

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                     強く熱望するHeadNho

――むかし僕が死んだ家Pさんの曲を作詞しようと思った理由は?

 普段、僕はネガティブっぽい曲調の歌詞しか書いたことがなかったんですよ。その殻をどうしても破りたくて。むかし僕が死んだ家Pさんの曲は何処までもポップで、そんな曲調の作詞をしたらどうなるんだ?っていう化学反応を見たかったんです。とにかく、むかし僕が死んだ家Pさんのメロディに詩を乗せたかった。

――挑戦的な意味合いが強かった、と。

 そうですね(笑)
でも結局、パネルラの歌詞はネガティブな要素が強くなったかもしれないです。

――作詞するにあたって難航したことは?

 音を邪魔しない言葉選びです。でも当たり障りのない言葉を安易に当てはめてしまうと、人の心に何も残らない。若干の“違和感”を入れて、そのバランスを取ることにすごい苦戦しました。あと……やっぱりストーリーの構築ですかね。

――『パネルラ』には宮沢賢治銀河鉄道の夜』の要素が多くある様に思えました。その理由を聞かせて下さい。

 むかし僕が死んだ家Pさんに頂いた音源を聴いて、「あ、これは冒険モノにしたいな」って思ったんです。キラキラしてる感じの歌詞を書こう、と。それで飛びついたのが『銀河鉄道の夜』でした。これを再構築して新たに物語を作れば、良い感じになるんじゃないか、みたいな。あとラスサビに入る前の高音が汽笛に聞こえたんですよ。これは題材を決めたあとに感じたことですが(笑)

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                      (笑)のHeadNho

――ストーリーの内容を教えていただけますか?

 地球は凄惨な環境下にあった。それは太陽の光が弱まったことが原因だったんです。太陽の光が弱まれば、地球は次第に凍土に覆われる様になり、食べ物の確保や、様々な行為がままならなくなる。そんな環境下に生まれ育った少年が、『パネルラ』の主人公です。少年は他の子供たちと何ら変わりのない、貧しい生活を送っていました。
 ある日、少年は銀河鉄道に出会います。銀河鉄道には「パネルラ」と名乗るひとりの少女が乗っていて、少年に「地球を救いませんか?」といった提案をします。少年は意を決してこれを承諾する。そして物語が始まって、曲に繋がるわけですね。
 地球の悪しき環境を打破する方法は、“星”を探すことでした。太陽の光を補助するような星を手に入れる。これが唯一の方法でした。少年とパネルラは“星”を目指して銀河を旅するわけですが、この話には裏があったんです。これはラスサビで分かることなんですが、“星”とは少年自身だったんですね。パネルラは最初から少年を騙していました。それを悟った少年は、家族や友達のために星になります。これが物語の全貌です。

――おそらくなんですが、詩の中の主観がコロコロ変わってますよね。

 さすがですね(笑)A,Bメロが少年視点、サビが基本的にパネルラ視点で、最後だけ少年視点になってます。

――あと、伏線が張られているようにも思いました。

 凄い(苦笑)はい、ただ伏線とまでは言えないかもしれないです。“「あれが彗星」と 君の震える指が そっと指し示す”のくだりは、少年を欺いていることに対するパネルラの葛藤を表現しています。実はこの彗星も元々は人間で、彗星の発する人間性を感じて欲しかった、彗星が人間であることに気付いてくれれば、少年は“星”とは何かを察し、どうにか人間のままでいてくれるかもしれない、といった願望で、パネルラは彗星を指し示しています。これがオチの伏線?ですね。

――パネルラは少年に恋心を抱いていた?

 そう解釈してもらっても全然大丈夫です!

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                      全然大丈夫なHeadNho

――それならば、なぜパネルラは少年が星になることを止めなかったのですか?地球を救うことを提案した理由はなんだったのでしょうか。

 曲中でも述べている様に、パネルラは宇宙の子供である元素の内の“炭素”です。それぞれの元素たちは宇宙の法則を維持する役割を担っていました。ある日、太陽は力を失い、それぞれの惑星に生息する、とてつもない数の生物達も命を次々に落とし、結果的に宇宙全体のバランスも乱れてしまいました。このまま放っておけば、宇宙の破滅に繋がる。宇宙全体に適用させた質量保存の法則みたいな感じで、その法則が破られると矛盾が生じ、宇宙が消滅しちゃう訳です。で、これをどうにかしなけばならない。そこで、炭素であるパネルラは、先人たちが行ってきた最も合理的な方法である「生物を星にする」計画を実施しようとしました。様々な生物を調査し、ようやく適任である生物として判断されたのが主人公です。ちなみに「地球を救う」というのは、少年の立場に立って発言したもので、実際は「太陽を再生する」ことを重視していました。

――設定上、パネルラを“炭素”とした理由は?

 完全に言葉遊びです。「私はパネルラ。そして私は“炭素”」の部分なんですけど、これを英語にすると「I am Panella. And I am carbon.」ですよね。そして炭素は元素記号で「C」。つまり「I am C」で「I = C」になります。そして、この「C」を冒頭の「I」に代入して、「C am Panella」→「Campanella」→「カムパネルラ」となる訳です。

――なるほど。本日はありがとうございました。

 はい。

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                         はい